ex-TYPIST

元TYPIST,現Therapist(予定)

2008-01-01から1年間の記事一覧

ここにいるはずだった子供へ

(※一つ前の記事「幻想としての蓄積」の前に準備していた記事です。時期を逃し、今さらになってしまいましたが、掲載させていただきます。――筆者註) 冨樫森監督『あの空をおぼえてる』の冒頭、いきなり青空を飛ぶ女児が目に入ってきたときには、いくら『鉄…

幻想としての蓄積

写真家か記者か、とにかく取材のためにフリースクールを訪れたらしい一人の男が、生徒たちにインタビューを試みるものの応じてもらえないまま下校時間を迎えた後の校庭で、職員の一人である足の不自由な女に声をかける。その間、つまり生徒たちが校門を出て…

最後の抵抗をするために

ラバ・アメール=ザイメッシュ監督 『最後の抵抗(マキ)』(2008) 『ブレッド・ナンバーワン』(2006) 『ウェッシュ、ウェッシュ、何が起こっているのか?』(2001) について。一目見れば明らかなことをまずは確認しておこうと思う。『ウェッシュ、ウェ…

血を見る!

ポール・トーマス・アンダーソン『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を見る。 まだひとつの文章としてまとめるには頭の中で整理し切れていないのですが、それでもこの映画について早く何事かをものしたいという邪な気持ちを抑えることができず、こうしてまたメ…

呪いにかけられて

万田邦敏『接吻』。 『UNloved』にも現れていた、「(選ばれる/選ばれてきた側の人間が)逆に選ぶ」という意志が本作でも「一途」に徹底される。 その徹底される「一途」さを単に論理の一貫性と捉えることが到底できないのは、われわれが作中、過剰なまでに…